
飛脚は、江戸時代に全国の通信を担った「高速長距離ランナー」。
現代でいうと、宅配便+郵便+高速配送+情報伝達を兼ねた存在です。
江戸〜京都間(約500km)を最速3日で走破した記録が残っていますが、これは 一人で走ったわけではなく、複数人のリレー方式です。
目次
飛脚は一人で走らない:リレー方式の通信ネットワーク
飛脚は宿場町ごとに交代しながら走ります。
● 一人が走る距離
- 4〜6里(約16〜24km)
- 町飛脚の場合は 6〜10里(約24〜40km)
● 宿場町で行うこと
- 人の交代
- 荷物・書状の受け渡し
- 水分補給
- 馬の交換(馬飛脚の場合)
つまり、宿場町は現代でいう 「物流センター+高速道路のSA+通信基地局」 の役割を兼ねていました。
[江戸]
│ 4〜6里(16〜24km)
▼
[宿場町A] ── 人が交代
│
▼
[宿場町B] ── 荷物受け渡し
│
▼
[宿場町C] ── 夜間も走行
│
▼
[京都]
飛脚の種類と速度(史料ベース)
江戸時代の飛脚は大きく3種類。 それぞれ速度・交代区間・役割が異なります。
① 公用飛脚(幕府の通信)
幕府の命令・報告を運ぶ最重要ルート。
- 江戸〜京都:3〜4日(特急)
- 平均時速:7〜10km/h
- 交代区間:4〜6里(16〜24km)
- 24時間体制で走る
- 馬を使う区間もあり、最速
② 大名飛脚(藩の通信)
藩専用の通信ルート。
- 江戸〜京都:5〜6日
- 平均時速:6〜8km/h
- 交代区間:4〜6里(16〜24km)
- 藩の財政により速度が変動
③ 町飛脚(民間の通信)
商人・庶民が利用できる民間サービス。
- 江戸〜京都:7〜10日
- 平均時速:5〜7km/h
- 交代区間:6〜10里(24〜40km)
- 商取引の発展で需要が急増
公用飛脚:120〜160km/日
大名飛脚:70〜120km/日
町飛脚:50〜80km/日
飛脚の速度を現代のマラソンに換算すると?
飛脚は「走りっぱなし」ではなく、早歩き+小走り+走り+休憩を繰り返す持久走スタイル。
● フルマラソン(42.195km)換算
- 公用飛脚:約4〜6時間
- 大名飛脚:約5〜7時間
- 町飛脚:約6〜8時間
つまり、飛脚はフルマラソンを半日で走る持久力を持っていたということになります。
なぜ飛脚はこんなに速かったのか?
- 宿場町の整備(五街道)
- リレー方式による疲労分散
- 夜間も走る24時間体制
- 荷物の軽量化(書状中心)
- 道中奉行による交通管理
江戸時代は約260年の平和が続いたため、交通インフラが驚くほど発達していました。
まとめ
● 飛脚は一人で長距離を走らない
→ 宿場町ごとに交代するリレー方式
● 500kmを3日で走ったのは「公用飛脚」
→ 最速の国家通信ネットワーク
● 種類によって速度が大きく異なる
→ 公用 > 大名 > 町飛脚
● 平均時速は5〜10km
→ フルマラソン換算で4〜8時間